PDDサポートセンター グリーンフォーレスト

理事長あいさつ

 PDD(Pervasive Developmental Disorders)とは、日本語にすると「広汎性発達障害」と呼ばれ、自閉症を中核とした、隣接した障害のある人たちのことを指すことばとして用いられてきました。補足すると、子どもたちの比較的限定された領域で現れる学習上の障害(例:読字障害、書字障害、算数障害、発語不全、協調運動障害・・・)、つまり「特異的発達障害」に対比することばでもあります。

 最近は、PDDと同じ意味のことばとして、「ASD(自閉スペクトラム症、自閉症スペクトラム障害)」が使われることが多くなりました。将来、精神医学や障害福祉の分野で、PDDということばは全く使われなくなるかも知れません。それでも、私たちはPDDを使い続けていく予定です。

 「特定非営利活動法人 PDDサポートセンター グリーンフォーレスト」は、2006年2月に設立した、自閉症をはじめとした広汎性発達障害のある人たちに社会生活支援を行うことを目的とした組織です。設立時期と、発達障害者支援法が施行された時期が重なっています。ちょうど、私たちの国で、発達障害と呼ばれる人の存在が、広く知られようになりはじめた頃です。PDDということばも少しずつ浸透しはじめました。私たちは、事業を運営しながら、利用者や相談者の特性について、初代理事長の篁一誠先生からPDDということばを用いて学んできました。だから、私たちはPDDを使い続けていきたいと考えています。

 また、当時は、今とは違い、医師からの診断を受けていない、障害者手帳を所持していない、そして障害福祉サービスの利用ができない発達障害のある人が、まだまだたくさんいました。私たちは、診断名や障害認定にとらわれることなく、「支援を必要とする人を対象に私たちは事業を行っていく」ことがいかに大切であるかを学んだ時期です。そして、この想いは、今でも私たちのもっとも大切なものだと考えています。PDDを使い続けていくのは、「支援を必要とする人」を大切にすると行った初期の想いを忘れないためでもあります。

 「特定非営利活動法人 PDDサポートセンター グリーンフォーレスト」は、法人設立以前の1994年に、重度の知的障害のある自閉症の人が社会で安心して生活できることを目指し、入居者の家族が尽力して設立したグループホームの運営がその起源です。その後、知的障害のない自閉症の人を中心に、日中作業や就労支援、さらに単身生活に移行するための中間的で教育的なホームの運営を行ってきました。そして、2019年6月、組織体制を新たにし、長期的な事業運営ができる組織目指して動き出しました。

 障害福祉サービスとして6カ所のグループホームと相談支援事業の運営を行う、小さな組織です。しかし、診断名や障害認定にとらわれることなく、支援を必要とする人に、自分たちで何ができるか考え、社会生活支援を行える組織でありたいという、創設時の想いをPDDのことばに残し、今後も事業を進めていきたいと考えています。

理事長 志賀 利一

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